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2013/02/28

Wept for 9 Days & 9 Nights













かせきさいだぁ - CIDERが止まらない





順子ちゃん と モヒンダー






高校生の頃、近所のファミリーマートにバイト募集の張り紙があって、

そこには 時給¥680 と書いてあった。

「ふざけやがって、このご時世にどこのどいつが、そんな時給で働くってんだ?」

と、思っていたんだけど、バイトの面接に落ちまくってた僕が、気が付いたら働いていた。







そこにエツカって1つ年下の女の子がいて、顔が少しデカい気がしたけど可愛い子だった。

半年ほど経って、僕の時給が¥690になった頃、

エツカが 「おい、合コンしてやろーか?」と言いやがったので、

僕は 「お、お願ぇーしますだ!」 と、土下座した。







合コンの前日だったか、大して話した事もない深夜のバイトの大学生が寄ってきて、

「知ってる?エツカちゃんは店長と付き合ってるんだよ。」 と言った。


そー言えば、最近、店長はずっとソワソワしてて、

「エツカちゃんには彼氏がいるらしーからなぁ。」 「年上で、うまく行ってるみたいだ。」

と、聞いてもない話をするので、気持ちが悪いなぁと思ってた。







その頃、僕は体面とか、世間体なんてのに疎くて、

店長とバイトが付き合ってる事を隠す意図が、まったく分からなかったから、

大学生の言葉が冗談か本当かわからないまま、 「へぇー、」 と答えた。







合コンの当日、エツカはカラオケボックスでカクテルをがぶ飲みして、

僕の目の前で、シンスケ君とベロベロ舌を絡ませて、次の日、2人は恋人同士になっていた。

僕は、髪をテカテカに固めてキメて行ったのに、何のハプニングも起こらなかった。







店長は、 「オレは若い頃、ホンダのVFR400に乗ってて、甲州街道を140Km/hで走ってたぜ!」 って自慢が好きで、

時々、機嫌がいいと、クリオネみたいな動きの小躍りをしたりした。

ところが合コン後の店長は、 「私、毎日、下痢気味です。」 みたいな顔で、目も虚ろに、360°悲壮感だった。

いやはや、僕にはかける言葉がまったくないよね。







シンスケ君は、僕が聞いてもいないのに、エツカがベットの中でどーの、こーのって話を延々してくるので、

すっかりウンザリしていた頃、バイト終わりに、下痢顔の店長に「偶には飯でも行かないか?」と誘われた。

偶にも何も、そんな事は初めてだったけどね。







近くのステーキ屋で、ステーキを奢ってもらった。店長は食いながら、テーブルに飛んだ油の点々を見ていた。

僕が、気持ち悪いなぁと思っていたら、店長が「実は・・」 と切り出した。

「・オレのばあちゃんは、占い師だった。そん所そこいらのじゃない、

地元では有名人で、地震やら天災の予知は100%だったし、

病気を発見して人の命を救った事もしょっちゅうだった。

だから、家の家族で、ばあちゃんの言う事を聞かない奴はいない訳なんだけど、

そのばあちゃんから先日、電話があって、今、お前が付き合っている女は運命の女だって言ったんだよ。

それで、もし、その女とオレが別れる様な事があったなら、オレは3年以内に死ぬ運命に変わるらしい。

実は、今、オレは彼女とうまくいっていないんだ。

・・・その、何てゆーか、人と人の繋がりってゆーのは、簡単なものではないんだ。わかるか?」







意味はまったく分からなかったけど、僕の心はまだ純粋だったから、

「あぁ、この人はあと3年の命なのか、可哀想にな。」 と思った。

それから、少しして僕はバイトを辞めたので、3年の内に店長が死んだかどーかは知らない。


あの頃、だいぶ大人に見えた店長は、当時まだ20代の前半だったと思う。


ある時、店長のデスクの上で偶然に給料明細を見つけた事があって、

なんとエツカの時給は¥920であった。


そろそろ春だから、今年こそはブランニューな娘と超音速の恋がしたいぜ。


















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