Diane Birch - Copy Of A (NIN Cover)
tride 515
テレビやラジオ等で、デビューしたてのミュージシャン達が、
「信じれば、信じ続ければ、夢は必ず叶う」
と、インタビュアーやファンに向けて力強く発言し、
1曲だけ売って消えてゆく背中を、
僕らは涙を浮かべて見送り続けてきた。
僕らの多くは、その言葉が好きだけど、本気で信じている人は少ないんだと思う。
高校生のころ、同級生が親と行ったアメリカ旅行のお土産に、
免税店でタバコを買ってきた。ソフトケースの赤いマールボロをカートンで、
それは、ナチュラル・ボーン・キラーズで、ジュリエット・ルイスがかっこよく吸ってたアメリカのマルボロ。
同じ味かと思ったら、日本で売ってるのとは違ってて、
とても甘い香りで、ビターなチョコレートみたいな味がした。
同級生の1人がベランダから、教室で少年ジャンプを読んでいたヨモチ君を手招いた。
そして、のこのこやって来たヨモチ君に、アメリカのマルボロを1本勧めながら言った。
「知ってっか?アメリカのマルボロには、少しだけどチョコが入ってんだって」
「・えぇッ!?マジで!?」
ヨモチ君は少し前に、販売開始当時(1886年~)のコカコーラには、
コカインが入っていたって史実を勉強したばかりだったので、顔を歪めて驚いた。
そしてヨモチ君は、ゆっくりとアメリカのマルボロに火を点け、肺に吸い込むと、
「あぁ、本当だぁ~。クラクラするぅー。」
と言って、ただのタバコで2時間ほどキマっていた。
僕らは、そんなヨモチ君を、まぬけな愛犬を眺めるように見守ていた。
しかし、それからもヨモチ君は、疑わなかった。
自分が乗っていたホンダの50ccジャズは、ハーレーにも見劣りしないと思っていたし、
親の車のブルーバードを、「ピュアなスポーツカーだ。カマロより速かった。」と言っていたし、
俺は流行の最先端、俺はかっこいい、俺はイタリアン、俺はリーダー、
そんな事を言って、バギーパンツの腹や腰にいつもモデルガンを挟んで歩いてた。
僕らはヨモチ君を信じていなかったけど、彼は自分をどんな時も信じ続けた。
今や彼は、電気工事屋の社長で、数人の社員に給料を払っている。
不思議な事に、リビング・レジェンドと呼ばれるようなアーティストや、
素晴らしい功績を持つ学者や、アスリート達の多くも、
自分の行動に疑問を持たず、我が道を神に与えられた使命の様に感じると聞く。
どうやら、信じる事からしか始まらないようですね。
チンコでかくなれ。
僕のバイク絶対に壊れない。
このあたりから、信じてみようと思います。
higherground 06