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2019/04/28

ex Girlfriend


たまにはバイクの話をしよー。


彼女の名前はフューチャー号、イギリス生まれのアメリカ育ちの左利き、

モデル体型ってわけではないが、美容系女子みたいに細かいとこまで手入れが行き届いてる。

派手好きで、甲斐性無しの結婚相手には不向きと思えるが、

乗り味と喘ぎ声は絶品で、忘れられない女ってのはこんな女の事なんだろうね。

今は実家で別居中で1年以上あってないが、また会いたいもんじゃ。









Ghost like girlfriend - 煙と唾








鉄スクーターへの憧れなのだろうか?

原付の法廷速度は30キロだし、二段階右折も面倒なので原付は持った事がなかったんだけど、

近所の足にと3万円で買った生まれて初めての原付。ベルトがビロビロで最初は40キロしか出なかった。

次のタイヤ交換の時にはミシュランのS83にしちゃうと思う。

しかしこの所帯じみてるんだけど団地妻とはまた違う、

郊外の同じ家がいっぱい建ってる住宅街の女みないな感じで落ち着く。

名前は無い。







山道への誘惑から、ヤフオクでXR250Rを探していた時に、たまたま見つけたSR。

250登録で、フロント21インチ、FCRも入って18万円だったのでうっかり買ってしまった。

前後のサスがいい感じで、腰にも肩にも優しい女だった。

名前をシンシア号と名付けた。あれだ、山ガールってやつね。







マフラーを沖野鉄工所でペイトンプレイスに変えてもらった。

FCRはセッティングがだいぶ濃いみたいで合っていなくて、4000回転くらいまでしか回らない。







この女は背が高いので、平地でも常につま先立ちだ。

だから山を登る時は大変だった。

坂の途中でコケると、エンジンをかけるので汗だくになる。

足の長い女とバックでヤルのが大変みたいな、あの感じね。







山は恐ろしい。バイクが転がってエンジンがかからなくなるとめっちゃ心細くなるし、

行き先が見えなくて、丸太を排除しながら進んで、

行き止まりになって、来た道を振り返り、

急な上り坂を延々と見上げている時の絶望感とか、

山ガールは街の生活が如何に偽物かを教えてくれたんだな。







5キロくらい走れる砂浜を見つけた。

最初は戸惑ったが、砂浜も慣れてくると楽しい。

波打ち際の固い砂浜で加速して、回転数を落とさないように柔らかいゾーンを走ると、

スノーボードみたいに走れる。

バイクの楽しさを改めて教えてくれた女、

結婚するならこんな女がいいのかな?なんて思った。







そんなある日、台風が来た。

僕は台風の日に海へ行くサーファーに憧れがあったし、

雨は殆ど降ってなかったし、僕は性欲に従ってバイクで砂浜に出掛けた。

波が少し高くて、いつも通れるところまで海が来ていた。

でも、波が引いた時には通れそうだったので、タイミングを合わせて通った。

雨のせいで砂浜はいつもよりも走りやすい。

突き当りまで走って、戻り、また先程の場所でタイミングを見て通ろうとすると、

ヌルヌルの岩に滑って足を着いたところに波が来てエンジンが止まった。

エンジンはかからず、シンシア号は波を何度も被った。

諦めてバイクを降りて、浜まで押す途中、滑ってシンシア号を倒した。

起こして押し、また滑って倒した。

汗だくだ。

何とか砂浜まで上げたが、1時間ほどの試みでもエンジンはかからなかった。

どっかが漏電したか、エンジンに水が入ったかもしれんと思い、

こんな一般道から何キロも離れた砂浜にレッカーが来るはずもないし、疲れたし雨も降って来たので、

波のこなそうな場所までシンシア号を引きずり上げて、最寄りの電車の駅まで延々歩いて帰った。







翌日は、昨日の台風が嘘のような快晴だった。

プラグを持って、駅から延々歩いて、丘を越えると、シンシア号は見当たらなかった。

盗まれたか?いやー、台風の夜にそんな奴いるか?

海の美化委員会みたいなやつらに片づけられたか?ありうるわ、

まさかな。

と思うと、波打ち際にゴミくずよような何かが見えた。

まさかな。







なんや、この鉄くずは。

10代の頃、友達に男気チェックとして、

「もし目の前で、彼女がマイクタイソンにレイプされてたら助ける?」

と聞かれたことがある。

僕は、「目の前で怪我した彼女を置き去りにして、溺死させてしまったらどうする?」と自問自答した。

この時の後悔の気持ちと言ったら、もし、たら、れば、と止めどなく、オカマのような気持ちであった。







コッコの失恋の曲で、雨ならば泣けていたのにって歌詞があった、

それはとても晴れた日だったのだ。

フロントがネックごと右にありえないほど曲がっている。

マイクタイソンの驚異をじわじわと感じる。







それから、僕は堅実的で足付きもよくて、立ちバックも安心。

山で転がしても、海に沈んでも良いようにXL230を買った。

気持ちよく回るんだけど、

なんと言うか、家庭的で気が利くけど、盛り上がらない女なのである。







気がつくと、またSRを買ってしまった。

この彼女は都会的で洗練された外見なのだが、

僕、ノーマルキャブのSRに乗るの初めてなんだけど

ノーマルのキャブのせいか、なんか走りがモサい。

おまけにマフラーが直感で、くそだせー吸い込み音がする。言うなれば、

いい女だけど、上京したてで何言ってるか分からないレベルの東北訛りの女だ。

声がでかいので、外でデートすると恥ずかしい。みたいな感じだ。

実際のとこ、女なら満更でもないんだけど、バイクだと残念だ。

名前はアリシア号と名付けた。

取り敢えずサイレンサーを入れて、もっとマフっとしたでか尻のシートに変えよう。




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