Smino - Anita
2日目の宿はイスラム人の多い居住区で、100m歩く度に汚い黒人が小銭をたかってきた。
まさか、僕の小さいバックパックに700ポンドのキャッシュが入っているなんて夢にも思ってないんだろうな。
4人部屋の隣のベットには、親子に見えるほどの年の差の新婚のイスラム人の夫婦が、
嬉しそうにIpadでドラマを見てながらちちくりあっていた。
ドミの便所で服を洗い、コインランドリーに行って、
スーパーで飯を買い、ヘッドショップに立ち寄る。
時々、怪訝な顔をされて、それがどうした?って顔で見返す。
もっと若い頃ならば、色々な人と話をして、一緒にどこかへ出掛けたりしたんだろうけど、
怪しい東洋人のおっさんに話しかけてきたのは、おたくのアメリカ人と、
マジシャンみたいな少女を連れたルーマニア人のマフィアの構成員みたいなやつだけだったな。
後この先、僕は何年くらい生きて、乾いた心にスパイシーな刺激を求めて
奇界遺産を探しに繰り出して、何度くらい異文化に触れて、
人間の営みとはいったいなんなんだろう?って考えるふりをするんだろうね。