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ロリータ18号 - Love your money
一ヶ月近く、左手が使えないと、モンモンしてくる、
バイクにも乗れないし、写真もまともに撮れないし、
赤の他人に親切にされたり、知り合いに心無い事を言われたり、
ここぞとばかりに、身体障害者の一生とかを想像して、
共感したり、同情したり、達観したふりをしてみたり。
入院中のある日、地震があって、何人かが騒いでいた。
その日の夕方、雷が鳴って、日本全国で大雨が降った。
すると、隣のじじぃと、腹痛のおっさんが、
「地震、雷ときて、後は火事と、親父ですな?」
「お上手、わっはっは、」
と笑いあって、当然、僕は沸々とムカついた後、
急に、昨晩中 「チンコが痛てー」 と騒いでいた事を恥ずかしく思った。
例えば、ジャック・ジョンソンが、プロでサーフィンしてる時に大怪我してから、
音楽を真剣にやるよーになったとか、それと似た様な話が沢山ある。
そーだ。もー、バイクを降りて、電車のパスモってヤツを買って、
カメラを叩き壊して、スーパーモデル風に歩くんだ。
タンスの中のパンツを全て焼き払い、フンドシを絞める。
左手オナニーのやり過ぎで、骨折に至った僕は、
印象派の左手イズムから、よりキュビズム的な尿道派の黄金時代へと変わるべきなのである。
翌日、僕の熱は下がって、退院できる事になった。
朝食のあと、隣から、
「はぇ、今日はお腹にガスがあまり溜まってませんっ。」
と、嬉しそうなじじぃの声が聞こえた。
僕はそそくさと1階へ降り、受付で福沢さんを16人並べて、泣きながら家に帰った。