mouse on the keys - 最後の晩餐
例えば、殺し屋が、人の気配や殺気に敏感な様に、
例えば、料理人が、目視で素材の重さが分かる様な、
例えば、柔道家の耳が、餃子の様になる様な、
それは、そんな事であったのかもしれない。
Aさんと僕は、リサイクル屋で働いていたので、
依頼のあった家を訪ねて、不用品を査定し、買い取るような事を毎日していた。
Aさんは時々、若い女の部屋で、ベッドを査定しながら耳まで赤くしてモジモジする事があった。
僕は、「しょーがないね~♪」 と思いながら、「タイプでしたっか?」 と聞いたりすると、
Aさんは、照れたようなハニカミ顔で話し始めた。
「女には2種類の女がいる。 男の臭いがプンプンする女と、そーでない女だ。」
そー、Aさんの理論では、女は男と接する事で、フェロモンだかホルモンだかを分泌するので、
その2種類の女の間には、「匂い」の違いが確かにあると言い張るのである。
もっともらしい話である。
そしてAさんは、男の臭いのしない女の部屋に入ると、もー恥ずかしくて恥ずかしくて、
ついでにそんな無農薬の畑に足を踏み入れてしまって申し訳なくて、耳まで赤くなってしまうのだ。
困ったモンである。
しかーし、僕もその能力が欲しくなった。
だから渋々、Aさんに頭を下げて、弟子入りする事にした。
それから修行の日々が始まった。
僕 「オッス、師匠、今のは無臭ですね!?」
A師匠 「いや、今のはプンプンだ。」
僕 「次こそは、臭わなかったですね!?」
A師匠 「いや、あれはただのブスだ。」
僕 「今度こそは、シロでしたよね?」
A師匠 「いや、あれは男と別れて田舎に帰るんだな。残り香があった。」
A師匠 「さっき娘は、無臭だったよ。」
僕 「うそーん!?めちゃめちゃ垢抜けてましたよ!」
A師匠 「んだ。でも、3年近くはご無沙汰だよ、あれは。
いいか、目で見ようとせず、股間で感じろ!」
僕 「ぐぬぬぬぅ、うるせースカトロ野朗。」
僕は、志なかばで挫折した。
場末のピンサロ嬢にしか欲情しない人もいれば、
無臭の女にしか魅力を感じない人もいる。
フェチズムとは、面白いものですね。
まぁ、全てはAさんの憶測であり、妄想なんだけどね。
フリーウェイのジェネレーターを交換したよ。
ホンダ ウルトラ S9!