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2023/02/07

Undead Smoking Club







August 2020

New York

Harlem

2020年 8月

ニューヨーク

ハーレム









Keith Jarrett - Danny Boy (Londonderry Air)









コロナ渦中のニューヨークに

ウエストハーレム103St辺りのプロジェクト団地の一室の

ホームパーティーに誘ってもらった。

部屋の隅で若者が「オレはやるぜ。やったるぜ。」とぶつぶつ言いながら

極太のジョイントを作っていた。







コロナ渦中の鬱屈とした空気の中で、

ドラッグの需要が高まり、どこのプッシャーも商品が品薄だった。

高校生や若者達の間では尻の穴から

ウィスキーやテキーラ、ヴォッカなどのハードリカーを注入する遊びが流行って

結構な人数の子供たちがODで死んだ。







コメディー映画でしか見た事ないくらい

冗談みたいにデカいジョイントだよね。







アメリカで大麻を吸う事は普通のことだと思っていたけど、

常用してる人達はアフリカンアメリカンの人達を中心に

人口の20%ほどで、

多くの人達はアルコールを嗜むくらいで、

マリファナは若い頃は吸ってたけどね。とか、大学生の頃に吸った事あるよ

と言う感じである。





主要国の種類別の麻薬生涯経験率

今まで一回でもやったことがあるかアンケートの結果

日本人の好奇心の無さが凄い。

最近、日本人のパスポート保有率が20%以下になったって話も聞いた。

もともとでも25%くらいだったと、

世界最強と言われる信用度のパスポートなのに、

外国にすら興味が無いとは欲の無い

単に怖いとか、興味や価値を感じないと言うことなのかな?







僕はそもそも大麻に特別な思い入れも無くて、

目の前にあれば吸うけど、

どうしても吸いたいと言う程好きではなかった。







アメリカでは大麻の匂いをハッピースメルって言う人がいるよ。

バカみたいなジョイントにみんなニコニコだね。







時々、麻薬をするとどんな感じなの?

と聞かれたりするけど、

感覚は人それぞれだと思うよ。

美味しいとか、痛いとか、気持ちいいとか、

同じ物事に触れても、個人差が結構あるもんなんだよ。

大麻を吸うとひたすらブチ上がる人もいれば、

宇宙まで行ける人もいるし、

迷宮に迷い込んだり、

奈落の底に落ちたり、

精神を取り乱したり、

呼吸困難になったり、

どんなにいいブランドのを吸ってもボーっとするだけだったりね、

僕の場合は効くのは大抵最初の30分程で後は惰性で寝るまで吸うだけなんだな。







僕はアメリカに来て友達がいなかったので

暇を埋める手段として大麻を吸うようになって

気が付けばコロナで自由な時間が増えて

朝の目覚めと共に吸い、

合間には電子タバコも吸い、

シーシャのセットも買ってCBD入れて水タバコも吸い、

コロナ渦中は本当に煙を吸いっぱなしだった。







この人がホームパーティーの主催者のエディーさん

昔、日本人の女と結婚してたそうで日本で働いてた事もあって

日本語も少し話せる。

お金なんかいいよ、いつでも遊びにおいでよと言ってくれて

めっちゃいい人なんだよね。

慢性的にルーズだけどね◎







食べ物のドキュメンタリーでメキシコ人が

メキシコ人は辛い物を多く食べるので、

一般的には胃腸が強いと思われているんだけど、

そんな事はなくて、

メキシコ人の多くは慢性的に胃腸が炎症を起こしているんだよ。

と言っていた。


タールが原因なのかな?

タバコを吸っていると喉の手前が炎症してくる。

そのうちタンで喉が詰って、うんうん言うようになる。

それでもタバコをやめられずに吸う。

最終的には医薬品のネオシーダーでさえ嗚咽して吸えなくなる。

喉が終わったと諦めてタバコをやっとやめる。

一体 人生で何度目の禁煙草だろうか?


煙草とは確実に違い、大麻は喉の少し奥の気管

コロナ禍で皆が咳やくしゃみに敏感になっている中

炎症に炎症を重ねた喉は日常的に吸っていない時でも咳が止まらなくなる。

職場の人達にどうしたの?コロナじゃないの?と勘繰られるのだが、

大麻を吸うのをやめられない。

一度カンノビノイド成分を体から抜こうとしたんだけど

マンハッタン6Av沿いの道端に落ちていたのを見つけて「わぉ」と言って、

誰かが吸った吸い殻の大麻を拾って吸ったほどね。

電車でも出来るだけ我慢するのだが、咳がでると暫く止まらない

白人のじいさんなどは鬼の形相で睨みつけて来るし、

おばさんなどはスタコラと僕の周囲から逃げて行く。

誰も僕に近寄って来ない。

のど飴を舐めながら

それでも吸い続けていると、

喉では常にローションのような唾液が作られる特異体質になる。

ネクストレベルに達した気持ちだ。







エディーさん溜めるなー、まだ右手にも吸いかけが残ってるのに、

左の青い人はいい下唇だったな、

フォレストガンプでガンプのマブダチだったババみたいで親近感が湧いた。







タバコに比べて大麻は依存症にならないって聞いた事あるのに、

いつしかまったくアウトオブコントロールになってた。

職場に応募があって従業員の面接をする2時間前でも気が付いたら火を付けて吸い込み

面接官の僕はで聞くべき事を忘れて「そーなんですねー」うんうんうん

と老人が縁側でお茶を飲んでる時のような有様だったし、

日本に帰国するから一応一週間くらいは抜こうと決心するんだけど、

結局我慢出来ずに前日の夜まで吸いっぱなしで一生ソファーに座っている。

流石に「オレは大丈夫なのか?」と心配になったが、

日本に帰ると全く吸いたくはならなかった。

依存しないとはこう言うことなのか。

日本の大麻は高価過ぎるしね。

NYではモノに寄るけど1オンス(28g)で$160くらいで買う。







毎日吸っていると

効きは殆ど感じられなくなって来る。

間違いなく1週間から10日に1度くらいにしないと

本当にただ吸ってボーっとするだけで、面白いところが全くない。

それでも気が付くと吸っているのだ。

沼にハマっているみたいな感じなんだけど、

不思議な事に1度もバットを経験したことが無い。

意外と自分と言う人間は楽観的なのかも知れないと思ったよ。







上半身裸のジャンキーみたいな奴が怒りながら部屋に入ってきた。

エディーさんがあいつはいつも怒ってるから大丈夫だよと言てると

極太のジョイントをみてハッピーフェイスになった。

大麻の力を感じるね。







このジョイントはそんなに良いのではなかったな。

僕がこれまで吸った大麻で一番凄かったのは友達にご馳走して貰った

カリフォルニア産のジョイントで

頭からユニコーンみたいな透明の角が生えたヤツかな。

脳みそも捲れあがってなかなかどうしてテンパりそうで面白かった。

あれはなんて種類のヤツだったのかな。







一番のバッド的な体験は大麻ではなくて脱法ハーブだな。

あれは麻酔系の成分が入っていてすぐに気絶するんだよね、

規制が入る度にどんどん粗悪になっていったしね、

あの頃ハーブ屋の店先にはよく体育座りしたまま固まっている奴がいた。


脱法ハーブってのはハーブ系の草に何だかよく分らないケミカルをまぶして

乾燥させただけのモノで、

初めて吸った時は実家に住んでいたから公園でも行ってと思ったんだけど、

面倒になって部屋で吸ったわけさ。

少し体は重たくなってきたから

椅子からベットに移動しようとする2歩の間に体がフリーズして

そのまま床にドサッと倒れて

1時間以上昏睡した。

起きたら床に涎の水たまりが出来ていた。

昏睡も結構苦しいイメージが残ってて何度も生を諦める気持ちになった記憶があるのに

それでもその昏睡の少し手前に桃源郷があるんじゃないか?

と期待して吸ってまた気絶する。

自分でもバカだなとしか思わない。


後日に先輩が吸ってみたいと言うので手渡すと

その彼は2吸いでソファーに深く座り

首を傾けて静かになった。

そしてまるで自分のかわいがっていたペットが死んでしまったような顔になった。

目をあけたまま気絶していた。

その切な過ぎる表情が面白くてしょうがなく見えた。

30分くらいするとさっき食べた大盛りのホイコーロー定食を

マーライオンの様に口から噴射した。

僕はその時は耐性の為か気絶しなくて、溜らずに大爆笑してしまった。

もう一人のその場にいた友達と2人でゲロの掃除をしたが、

先輩は更に悲しそうな目になってピクリとも動かなかった。

マーライオン先輩は2時間ほどで意識を取り戻したが、

戻って来た先輩は

真っ暗闇の深い洞窟の様なところで1人ぽつんと2億年の時間を過ごしたと言っていた。


後から思うと一人で仰向けに倒れてゲロを吐いてたら死んでたと思うと

あれはヤバい遊びだったな。







まぁ、賛否両論あると思うけど、

程々が1番だよね。


そんなこんなで、ソーシャルディスタンスが徹底され

多くの人が死の恐怖でお互いを疑い、

アジアンヘイトが各地で行われ出した頃、

今日、初めて会ったばかりの日本人の僕にもみんながジョイントを回してくれ、

殆ど言葉も通じないのに大麻入りの手作りクッキーや

フレンチフライやチキンも食べなよと勧めてくれた。


僕が大麻に酔っているのを何人かが指さして

おい、みんな日本人が今にも眠りそうだぞ、

こいつのバックを盗むなら今がチャンスだ!

とブッ込んだギャグを飛ばして来た。

僕の座ってた場所から少し離れた場所に放置されてた小汚いバックパックには

仕事の帰りだったので店の売上げと従業員数人分の給料の

現金が$3600くらい入っていたのでドキドキしたが、

「ムキー!」と漫画太郎シャウトを披露したらウケてくれた。

絶妙な冗談で勘繰ったけど、何も取られたものは無かったよ。

リラックスした良い時間だったな。

エディーさんよ、ありがとう。





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